※管理栄養士資格を持つライターが書いています。
近年の健康志向の高まりから、食物繊維や鉄が豊富なオートミールが注目されています。しかしオートミールを食べたら、逆に健康を損ねてしまった話を聞いて不安に思ったことはありませんか?
オートミールは健康的な食べ方と注意点を押さえておけば、健康的な食生活が送れる食材です。上手に取り入れて、オートミールをおいしく楽しみましょう。
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オートミールを食べてはいけない人の特徴3個
オートミールを食べてはいけない人の特徴は3つ挙げられます。
1. アレルギー反応が出る
オートミールを食べるとアレルギー反応が出る人もいます。原因は小麦アレルギーであることが多いです。小麦アレルギーは主にグルテンというたんぱく質に起因します。
しかし、オートミール自体は混ぜたり捏ねたりしてもグルテンを作らない、グルテンフリーの食材です。
それでもアレルギー反応が出る理由としては、収穫時や加工時の混入が挙げられます。オーツ麦と小麦は大抵同じ場所、もしくは隣り合わせで栽培されることが多いです。
また、一般的にオートミールを加工する工場では他の穀物も扱っているので、グルテンを作る穀物が混入する可能性があります。
微量のアレルゲンでも反応が起こる方は、「ピュアオーツ」や「グルテンフリー」の記載がある商品を購入してください。
2. 計測が面倒で食べ過ぎてしまう
計量が煩雑でついつい食べ過ぎてしまう場合は、摂取は控えた方が無難です。どの食品にも言えますが、特定の食品ばかり食べ過ぎるのは望ましくありません。
オートミールのエネルギー量は100gあたり342Kcalであり、白米100gあたり350Kcalと比較するとほぼ同じです。継続的に食べ過ぎると摂取カロリーが増えて体重も増加します。
多少食べ過ぎた程度では体に害があるわけではありません。習慣的に主食を全てオートミールに置き換えている場合や、1度に大量に食べてしまうという場合であれば摂取は控えた方がよいでしょう。
3. 体質に合わない
オートミールに多く含まれる食物繊維は消化されにくい栄養素です。そのため食べる量に関わらず、そもそも体質に合わず下痢や便秘を起こしてしまう人もいます。元々下痢や便秘をしやすい人には不向きな食材です。
また、オートミールを継続的に食べるようになってから肌荒れしたという人もいます。オートミールを食べ始めてから体調が悪くなった場合は、無理をせずに摂取をやめて他の食材で栄養を摂るようにしましょう。
オートミールの美味しい食べ方
オートミールのデメリット7個
オートミールのデメリットについて説明します。
1. そのままだと食べられない
オートミールは買ってきた状態のままでは食すことができません。お米と同じように加水して加熱、もしくはふやかせば食べられますが、特有の香りと食感があるため食べにくいと感じる方が多いです。
一般的には次のような方法で摂取します。
・調味料を入れ、味つけや風味をつける
・具材をトッピングする
・小麦粉の代わりに使う
・料理にプラスする
組み合わせる食品によって、糖質や脂質、塩の摂り過ぎにつながる点には注意が必要です。
健康のためにオートミールを食べているのに、その他の要素で不健康につながってしまうのはもったいないので、組み合わせる食品の量は意識しましょう。
2. 調理に手間と時間がかかる
オートミールの調理には手間と時間のかかる料理が多くあります。煮沸やレンジ加熱などで食べられるようにはなるものの、特有の風味や食感をダイレクトに感じてしまうのが難点です。
クイックオーツのようにすぐに水分となじんで食べられる種類もありますが、料理ごとに適する種類が異なります。そのため、調理方法だけでなく、種類によっても調理が煩雑になりやすいのが特徴です。
・味をつける
・トッピングをする
・料理に混ぜる
など、アレンジのバリエーションが多いのは利点ですが、優柔不断な方はメニューに迷ってしまう場合もあります。
3. リンの過剰摂取になりやすい
オートミールを日常的に摂取する場合、リンの過剰摂取になりやすいので注意が必要です。
リンを摂り過ぎることでカルシウムの吸収の阻害と、骨代謝の促進による骨分解が起きるためです。結果として骨密度が低下し、将来的には骨粗しょう症のリスクが高まります。
リンは成人の体重の1%を占め、主に骨や歯を形成するために必要なミネラルの1つです。
体内にあるリンの85%は骨や歯に存在しています。残りの15%は細胞の膜や核酸、またエネルギー産生化合物の構成要素です。
リンは多くの食品に含まれ、特に加工食品に使用される添加物にはリンが多いことから不足よりも過剰摂取が課題視されています。オートミールも例外ではありません。
4. 消化器官に負担がかかる
オートミールに多く含まれる食物繊維は、ほとんど消化されない栄養素です。
食物繊維の生理作用としては以下が挙げられます。
・腸内細菌のえさとなり腸内環境を整える
・便の量を増やして大腸のぜん動運動を促進し、便通をよくする
消化器官は消化液を分泌して消化を促しますが、食物繊維を多く含む食品は消化されるまでに時間がかかるので、結果として消化器官に負担がかかります。
特にお腹の調子が悪くなりやすい方は下痢や便秘、腹痛になりやすいので注意が必要です。
また、体調を崩している間はオートミールではなく消化のよいものに切り替えることをおすすめします。体調が崩れると消化能力が低下し、普段よりも便秘や下痢になりやすいためです。
5. 種類が複数あり、使い分ける必要がある
オートミールは加工方法や形状によって種類が複数あり、料理によって適する種類が異なります。
1つの料理でも、食感を残したい、逆に口当たりの良い状態に仕上げたいなどさらに自分好みの食感や味に近づけるために試行錯誤することも必要です。
・オートグローツ
・スティールカットオーツ
・ロールドオーツ
・クイックオーツ
・インスタントオーツ
・オーツブラン
主要な種類だけでも6つあります。それぞれの特徴を知り、使い分けていくことがオートミールをおいしく食べ続けていくポイントです。
最初は簡単ではないかもしれませんが慣れてくれば難しくないので、楽しみながら自分の好みの種類を発見できるよう試していきましょう。
6. 独特の風味や食感がある
オートミールには独特の風味や食感があり、料理の仕上がりが悪くなってしまうこともしばしば。風味や食感をダイレクトに感じてしまい、おいしくは感じられなかった経験はないでしょうか。
麦の香りとつぶつぶとした固い食感、または牛乳などでふやかした際のドロドロとした食感は、料理やお菓子に混ぜても風味や食感を完全に消すことは難しいです。
そのため上手に活かす、もしくはカバーするかどちらかの方法を取ることになります。オートミールの調理性を知ったうえで調味料やオートミール自体の量、種類を調整していくことがポイントです。
7. オートミールのみでは栄養バランスが偏る
いくら健康によいからと言っても、オートミールだけを食べていれば健康を維持できるわけではありません。
オートミールに含まれる主な栄養素は糖質とミネラル類であり、エネルギー産生栄養素として優先的に摂取するべき「たんぱく質」や「脂質」が少ない食品です。
さらに感染予防や粘膜保護に役立つビタミンA、抗酸化作用のあるビタミンCなどは多くはなく、全ての必要栄養素をバランスよく含んでいるわけではありません。
これによりオートミールに少ない栄養素を他の食品から補う必要があります。どの食べ物も豊富に含まれる栄養素とそうでない栄養素がある場合がほとんどです。同じものばかり食べてダイエットすることは、健康によいダイエット方法とは言えません。
オートミールを主食にするデメリット
ダイエットや健康維持のために毎食オートミールを主食にしようと考えている方は注意が必要です。理由は2点あります。
他の食品と組み合わせて食べる必要がある
1つ目は、おいしく食べ続けるために他の食品と組み合わせて食べていく必要がある点です。
オートミール自体は日本人に不足しがちな栄養素を多く含み、健康維持にはとてもよい食材ですが、3食ともたっぷりのフルーツや甘いはちみつ、チョコレートなどと一緒に摂ると糖質や脂質の摂り過ぎにつながります。
リンを摂り過ぎてしまう
2つ目はリンを摂り過ぎてしまうことです。リンの摂取基準は成人男性で1000mg、成人女性では800mgとなっています。
毎食のごはんをオートミールに置き換えた場合、1食40gの摂取と仮定すると120gの摂取です。オートミール100gあたりのリンの含有量は370mg、120gだと450mgを摂取することになります。
他の食品にもリンが多く含まれていることを加味すると、過剰摂取につながりやすくなります。
オートミールの1日摂取量目安
オートミールは1日に30g〜40gの摂取が望ましいとされています。
オートミールを販売する各メーカーに記載されている目安量も30gです。この場合、お茶碗1杯分のおかゆに相当する量を目安にしています。
主食として食べる場合は、1日1回主食の代わりとする程度が適量です。
一方でお菓子や料理に混ぜる場合は、一般的には1品でオートミールの使用量が30gを超えることは少ないため1日に複数回摂取してもよいと考えられます。
オートミール30gと40gあたりの主要栄養素量は以下の通りです。
オートミール30g | オートミール40g | |
エネルギー | 105Kcal | 140Kcal |
糖質 | 17.9g | 23.8g |
カリウム | 78mg | 100mg |
鉄 | 1.2mg | 1.6mg |
マグネシウム | 30mg | 40mg |
リン | 110mg | 150mg |
食物繊維 | 2.8g | 3.8g |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
オートミールを食べ過ぎると太る?
オートミールを食べすぎると肥満につながりやすいです。主食を1回白ごはんがらオートミールに代替した場合を、実際に食べる量で比較してみます。
オートミール40g、白ごはんお茶碗1杯150gの比較です。
オートミール40g | 白ごはん150g | |
カロリー | 140Kcal | 236Kcal |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
白ごはんよりもオートミールの方がカロリーが低いので、主食を白ごはん150gからオートミール40gに代替することで摂取カロリーを抑えられます。
ただ、白ごはんと異なりオートミールの場合は
・牛乳でふやかす
・他の食品と組み合わせて食べる
ことが前提なので、140Kcalよりも多くカロリーを摂取するのは確実です。
オートミールの摂取量を増やすとトッピングの量も比例して多くなるので、カロリー過多につながります。
オートミールの健康的な食べ方と注意点5個
オートミールの健康的な食べ方と注意点について説明します。
1. 適量を守る
1日あたり30〜40gの摂取量を守りましょう。イメージとしては1日1回、主食をオートミールにするといったかたちです。
健康を維持するために必要な栄養素を豊富に含んでいますが、適正量を守らないと特にリンの摂取過剰になりやすく、逆に健康を損ねてしまう可能性があります。
そのため毎回量って食べる必要はありませんが、少なくとも初回から2,3回は計量してから食べるのがおすすめです。
2. 頻度を守る
基本的には1日の適正量が守られるのであれば、頻度はさほど気にする必要はありません。
主食として摂取する場合は1回で適正量を摂取することが多いですが、料理やお菓子に使用する場合は1回で30〜40gを摂取することは少ないことがほとんどです。
例えばクッキー1枚にオートミールが5g使用している場合は、8回まで摂取できる計算になります。
1日の適量を意識しながら、見合った頻度で摂取するようにしてください。
3. 組み合わせる食品に気をつける
オートミールを食べる際には、一緒に摂る食品に注意が必要です。
1日1回主食の代わりとして食べるなら、一緒に摂る食品はフルーツをおすすめします。加熱に弱いビタミンを摂取できるためです。
フルーツの量は種類にもよりますが、100〜150g程度を目安にしてください。甘く仕上げる場合には砂糖やはちみつ、チョコレートの量も食べやすくする程度の量にとどめておきましょう。
4. 味を濃くし過ぎない
オートミールを料理やお菓子に混ぜる際は、味を濃くし過ぎないことが大切です。
独特の風味を消すために味を濃くすることは有効な手段ですが、健康のためにオートミールを食べるのに、味を濃くすると逆に健康的な食事とかけ離れてしまいます。
料理に加える場合は、味のはっきりした料理がおすすめです。
例えば、以下が挙げられます。
・カレー
・グラタン
・トマト料理
・キムチ料理
・お好み焼き
他にも、自分が好きな料理に加えるのもよい方法になります。
5. オートミールばかり食べない
オートミールに限ったことではありませんが、特定の食品を中心に摂るといった方法は一般的におすすめできません。栄養バランスのよい健康的な食生活ではなくなってしまいます。
オートミールは食物繊維や鉄、リンを豊富に含む食品です。逆にたんぱく質や脂質、ビタミンAやビタミンCは少なく、他の食品で補っていく必要があります。
たんぱく質や脂質は肉・魚・卵・大豆から摂りましょう。ビタミンAは緑黄色野菜、ビタミンCは加熱に弱いのでフルーツから摂取するのがおすすめです。
まとめ
オートミールは適正な量や組み合わせる食品、オートミールに偏らない食事に気をつければ健康的な食生活を送るのに適した食品です。
ただし、重度の小麦アレルギーをお持ちの方は栄養成分表示を確認してからオートミールを購入する必要があります。
オートミールの種類ごとの調理方法や工夫を知り、実践することでおいしく食べ続けることが可能です。健康的な食生活を送るために、ぜひオートミールを取り入れてみましょう。