※管理栄養士資格をもつライターが書いています。
南部鉄器の急須があるのを知り、鉄瓶とどのような違いがあるのか気になっていませんか?
この記事では、南部鉄器急須の特徴や鉄瓶との違い、メリットとデメリットについて解説しています。お茶の入れ方や、お手入れ方法についてもまとめました。
結論、南部鉄器急須は鉄瓶と違って火にかけられず鉄の補給も難しいですが、耐久性や保温性に優れています。大事に使えば一生ものとして使えますので、基本的な使い方をおさえましょう。
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南部鉄器の急須とは?
南部鉄器の急須はお茶を入れるための道具です。紅茶でいえばティーポットと同じ用途になります。
南部鉄器の急須が誕生したのは昭和10年頃です。先に鉄瓶が作られましたが印刷技術はなく、営業の方法はお客様に直接見せるのみでした。大きな鉄瓶を持ち運ぶには重く、小さく持ち運ぶために急須が作られました。
南部鉄器の急須は内側がホーロー加工されている場合が多いです。ホーロー加工のおかげで、南部鉄器の急須はサビに強い作りが最大の特徴といえます。ただし急冷や衝撃には強くないので、丁寧に扱いましょう。
急須と鉄瓶の違い
急須と鉄瓶は見た目がほぼ同じですが、特徴や用途は大きく異なります。急須と鉄瓶の違いは大きく分けて2つです。
①火にかけられるかどうか
鉄瓶は火にかけてお湯を沸かす道具ですが、急須は沸かしたお茶を入れておくための道具であり、火にはかけられません。
急須には茶こしがついており、茶葉を入れてからお湯を注ぐ使い方をします。分かりやすく言えば鉄瓶がやかん、急須は鉄製でない一般的な急須と同じ役割です。
②内部がホーロー加工されているかどうか
鉄瓶は内側がホーロー加工されていない商品が多く、急須はホーロー加工されている商品が多い傾向にあります。購入の際は、添付の説明をよく確認してください。
※急須にもなる人気の南部鉄器
南部鉄器の急須のメリット4個
南部鉄器でできた急須のメリットをご紹介します。
1. サビにくい
急須は南部鉄器でできた製品の中でもサビにくい作りになっています。内側にホーロー加工が施されているためです。
ホーロー加工とは、鉄の表面にガラス質をコーティングする加工方法を指します。ホーロー加工により鉄が酸素や水と触れないので、内部に水気が残っていてもサビることはありません。
しかし外側は加工がされておらず、サビやすいです。水気を残したままにしないよう気をつけてください。
2. 保温性に優れている
南部鉄器の急須は保温性に優れています。素材である鋳鉄(ちゅうてつ)が、高い保温性を持っているためです、
伝統の「アラレ」模様も模様部分に厚みを持たせており、保温効果を高めています。
ホーロー加工されている南部鉄器の急須は、お茶などを入れたまましばらく置いていても問題ありません。飲み物の温度を保ってくれるため、ティータイムもゆっくり楽しめます。
保冷もできるので、茶こしを外して冷たい日本酒を入れてもよいでしょう。
3. お手入れが比較的に楽
南部鉄器の急須は、南部鉄器で作られた他の道具に比べてお手入れしやすくなっています。内側がホーロー加工されているためです。
鉄瓶は内側に加工がされておらず、サビやすくなっています。赤サビが進行すると内部までサビてしまい、お茶や水に鉄の味が移ることもあるので買い替えの必要性も出てきます。
急須はホーロー加工されており、内部を柔らかいスポンジで洗ってもよいので、お手入れが楽です。赤サビを落とす手間もありません。
4. おしゃれな急須が多い
南部鉄器の急須は色がカラフルでおしゃれな商品をよく目にします。外国で南部鉄器の急須に注目が集まっているからです。
盛岡市の企業、岩鋳(いわちゅう)が海外に進出し、カラフルな急須が中国やヨーロッパ、東南アジアで人気となりました。
外国ではティーポットの代わりとして使います。ヨーロッパでは「イワチュー=鉄器」と認知されているほどです。今では逆輸入され、日本でも再注目されています。
南部鉄器の急須のデメリット3個
南部鉄器で作られた急須のデメリットを解説します。
1. 火にかけられない
南部鉄器の急須は火にかけられません。商品のほとんどが、内部にホーロー加工されているためです。火にかけるとホーロー加工が剥がれてしまいます。
直火にかける南部鉄器が欲しい場合は、鉄瓶を購入しましょう。
最近ではホーロー加工されていない急須も販売されているので、商品説明をよく見てホーロー加工されていない商品を選びましょう。
2. 重い
素材が鉄であり、一般的な急須と比べて重いです。大きな急須もありますが、一度に入れられる量が多いものの重量がネックになってしまうこともあるでしょう。
日常的に使うことを考えれば、重すぎるとけがにつながりやすくなってしまいます。
扱いやすい重量のものを購入するのがおすすめです。女性であれば、容量が500ml程度の急須が無理なく持てる目安となっています。
3. 外側の鉄の色が移ることがある
南部鉄器の急須は、直に置くと外側の黒い鉄の色味が移ってしまうことがあります。内部はホーロー加工が施されていますが、外側は素焼きの状態であるためです。
他にも、テーブルやお盆に黒い輪の跡がつく「輪染み」にも注意してください。鉄は熱伝導がよく、非常に熱くなるために起こります。
色移りや輪染みしても大きな問題はありませんが、大切にしている家具が汚れるのは避けたいですよね。色移りが気になる場合は、急須敷きを敷いてから置くようにしましょう。
南部鉄器の急須で鉄分補給はできる?
南部鉄器の急須では鉄分補給はできません。内側にホーロー加工が施されているためです。
ホーロー加工されていなければ、お湯を沸かすことによってお湯に鉄が溶けだし、飲むと鉄が補給できます。
しかしホーロー加工によって、鉄の表面がガラス質で覆われてしまうと鉄と湯が触れ合うことがないため、溶け出しません。
残念ながら南部鉄器の急須は、内側にホーロー加工されている商品がほとんどです。急須で鉄を補給したい方は、鉄瓶兼用急須を購入するのも1つの手段となります。
茶こしがついており急須としての役割を持ちつつ、内部はホーロー加工がされていないので火にかけて使用可能です。
南部鉄器の急須のお茶の入れ方
湯のみ2杯分を例として、お茶の入れ方をご説明します。
①急須にお湯を注ぎ、事前に温めておく。
②湯のみ2つにお湯を注いで1分冷ましておく。
③急須のお湯を捨て、茶こしに茶葉を4g~5g(ティースプーン2杯)入れる。
④湯のみのお湯を急須に入れて、1分蒸らす。
美味しいお茶を入れるためのポイントは2点あります。
1点目はあらかじめ急須を温めることです。急須を温めておくことで急激に温度が変化するのを防ぎ、最後の蒸らしを適温で行うことができます。
2点目は、急須に入れるお湯を先に湯のみに入れてから急須に入れることです。お茶は79℃以下で蒸らすと苦みを抑え、逆に甘味が引き立ちます。
また直接熱湯を急須に入れ、蒸らさずに湯のみに注ぐとスッキリとした味わいを楽しめます。お好みに合わせて入れ方を工夫してみてください。
南部鉄器の急須のサビは?
急須の内部はホーロー加工によりサビることは少ないです。しかし外側は素焼きの状態なので、使用期間とともにサビてくることもあるでしょう。
少し赤サビがついた程度であれば汚れてもよい布巾に緑茶を含ませ、おさえるように拭くとサビを落ち着かせられます。
また布巾に食用油を含ませて染み込ませるように拭くと、サビを事前に防ぐことが可能です。食用油はご家庭にあるサラダ油でよいですが、椿油を使うとより効果的にサビを防げます。
南部鉄器の急須のお手入れ方法3個
南部鉄器の急須のお手入れ方法をご紹介します。
1. 特別なお手入れは不要
内部がホーロー加工されているため、日常は特別なお手入れはしなくても大丈夫です。
ただし長く使っていると、急須の内部に茶渋がつくことがあります。対処としては熱湯を入れてしばらく時間を置き、茶渋が浮いたところで中性洗剤をつけた柔らかいスポンジで洗うとよいでしょう。
2. 内部はスポンジで洗う
急須の内部は柔らかいスポンジで洗ってください。スチールたわしやメラミンスポンジなどは使用しないようにしましょう。
急須の内側に施されているホーロー加工を傷つけてしまう恐れがあります。
また、茶渋がひどいとき以外は中性洗剤は使わない方がよいです。中性洗剤の使用によりサビやすくなってしまいます。
3. 水気を残さずに保管する
水気を残さないことと、湿気の少ない場所で保管しておくことがポイントです。水気を残さないようにしっかり布巾などで拭き取ってください。
特に「注ぎ口」「茶こしのセット部分」「蓋の裏」「取っ手の付け根」は水気が残りやすいので、意識して拭くようにしましょう。
完全に水気を拭いたら、ふたを取り逆さにして風通しのよいところで保管してください。
まとめ
南部鉄器の急須の特徴や鉄瓶との違い、メリットデメリットについてご紹介しました。急須はお茶を入れるための道具で、火には直接かけられません。
内側にはホーロー加工が施されておりサビにくいですが、鉄が溶出しないため鉄の摂取は難しいです。お手入れは簡単で、水気を完全に拭いて風通しのよいところで保管します。
おしゃれな商品も多く販売されているので、ぜひお好みの急須を探してみてください。