ヴィーガンのメリット・デメリット15個!太ってる・痩せすぎ

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ヴィーガンのメリット・デメリット15個!太ってる・痩せすぎ

※この記事は管理栄養士資格を持つライターが書いています。

ヴィーガンの食生活に注目が集まり、特徴を活かした商品を多く見かけるようになりました。ヘルシーなイメージがありますが、本当に健康によいのか気になりませんか?

この記事ではヴィーガンの特徴やメリット・デメリットについて解説します。記事を読むとヴィーガンとは何か、環境への影響、栄養学の観点から気をつける点などが分かります。ヴィーガンの特徴を知って食生活に取り入れてみましょう。

ヴィーガンの意味とは?


ヴィーガンとは「可能な限り食べ物・衣服・その他の目的のために動物の搾取を取り入れないようにする生き方と定義され、「vegetarian」を語源とするイギリス生まれの造語です。

動物から搾取しない・残虐な行為を行わないことを「ヴィーガニズム」と呼び、動物を大切にする考え方が背景にあります。

日本語では「完全菜食主義者」と訳され、
・肉
・魚
・卵
・乳製品
・はちみつ
といった動物性食品を摂取せずに植物性食品のみを食べる人を指しており、野菜や果物が中心の食生活です。

また、シルクやウール、革のような動物性の素材も身につけず、動物実験を行っている化粧品を使わない「エシカル・ヴィーガン」も含まれていて、食事や食生活のスタイルのみを指す言葉ではありません。

ヴィーガンとベジタリアンの違い

ヴィーガン植物性食品のみ食べる
ベジタリアン動物性食品を一部食べる

ヴィーガンとはベジタリアンの一種で、ベジタリアンは菜食主義ですが、その中でも動物由来の食べ物を一切口にしない、つまり卵や乳製品、はちみつを食べるか否かが大きな違いです。

また動物性の素材を身につけないなどの動物への配慮がなされていることも違いの1つでしょう。

食生活のみにヴィーガンの考え方を取り入れている人もおり、「ダイエタリー・ヴィーガン」と呼ばれています。

一方、ベジタリアンは各動物性食品を食べるか否かでさらに細かく種類が分かれています。
日本では一般的にベジタリアンという単語は、卵と乳製品は食べる「オボ・ラクトベジタリアン」のことを指して使われることが多いです。

ヴィーガンの食事の栄養

ヴィーガンの食事は、植物性食品の摂取が主であるため、植物性食品に豊富な栄養素は摂取しやすいです。

逆に動物性食品に多い栄養素は摂取量が少なくなります。

具体的な栄養素は以下のとおりです。

摂取しやすいもの摂取しにくいもの
・炭水化物(=糖質+食物繊維)
・カリウム
・ビタミンAの1種であるカロテノイド
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンC
・葉酸
・マグネシウム
・ポリフェノール
・たんぱく質
・ビタミンB12
・カルシウム
・鉄
・亜鉛
・飽和脂肪酸
・コレステロール

エネルギーは動物性食品の方が多いため確保しにくいですが、ダイエットの観点でいえば効果的です。

飽和脂肪酸やコレステロールは体に悪いイメージがありますが、過剰摂取しがちな栄養素だからです。いずれも生体機能の維持には必要であるため最低限は摂取してください。

ヴィーガンのメリット6個

1. ダイエットにおすすめ

動物性食品はカロリーが高いものが多く、ヴィーガンの食生活を取り入れることにより摂取カロリーを抑えることができるので、ダイエットしたい方におすすめです。

また、根菜類などを大きめ・固めに調理することによって噛む回数を増やせるので、満腹感を得やすく、唾液の分泌も促すことができるので、食べ過ぎを防ぐことによりカロリーを抑えられます。

2. 脂質の摂りすぎを防げる

植物性食品中心の食生活にすることで、動物性食品に多く含まれる脂質の摂取を減らすことができます。

現代の食生活は脂質が摂取過剰になりがちで、脂質異常症や肥満などの生活習慣病につながることが多いです。

ただ、ナッツ類やオリーブオイル、揚げ物を食べ過ぎると脂質の摂取量が増えるので、同じ食品ばかり食べないように心がけましょう。

3. 血圧を上げにくい

野菜や果物には血圧を下げるはたらきを持つカリウムが豊富に含まれています。高血圧は脳卒中や虚血性心疾患などの原因になるため、カリウムの摂取が重要です。

飽和脂肪酸も摂りすぎると血圧を上げる要因になるので、動物性食品の摂取をしないことで血圧の上昇を抑えることができます。

4. 腸内環境がよくなる

植物性食品には食物繊維が多く含まれており、善玉菌のえさになる「水溶性」と、便の量を増やして排便反射を起こす「不溶性」の2種類があります。主な作用は血中コレステロール値や血糖値の上昇抑制や腸内フローラの改善です。

ヴィーガンの食生活で主要な食品であるナッツや果物、きのこ類、海藻は、食物繊維を豊富に含んでおり、お腹の調子がよくなる可能性があります。

5. 肌を美しく保つ

腸内環境がよくなると肌も健康になり美肌効果があります。便が腸内に溜まらなければ、悪玉菌が増殖して有害物質が腸から吸収されることがないので、肌を美しく保つことが可能です。

また、ヴィーガンの食生活を取り入れて動物性脂肪の摂取量が低下すると、皮脂の分泌量を抑えることができ、肌トラブルが減る可能性があります。

6. 消化の負荷を抑えられる

動物性食品は植物性食品に比べて3倍の消化負荷があるといわれており、内臓に負担がかかりやすいです。

そのため植物性食品の摂取を中心にすることで消化の負担が減って消化にかかるエネルギーを節約できるので、疲れにくくなるという方もいます。

また、日本人には乳製品に含まれる乳糖を腸内で分解しにくい体質を持つ人が多いため、乳製品の摂取がなくなることで消化の負担を減らせます。

ヴィーガンの環境へのメリット3個

1. メタンガス発生の抑制

牛などの家畜動物由来の食品摂取をしないことでメタンガスの発生を防げます。メタンガスの温室効果は二酸化炭素の25倍です。

日本の農業・畜産業・林業・漁業で排出される温室効果ガスの量は5,001万トン、このうち15%は牛などの家畜のおならやゲップが原因です。600kgの牛1頭あたりが排出するメタンガスは1日に200〜600L、世界全体では家畜が出すゲップに含まれるメタンは、温室効果ガスの4%を占めています。

参照:農研機構農林水産省

2. 水資源の保全

動物性食品の摂取を避けることで、家畜の排泄物による水質汚染の防止や育てるために必要な水の大幅な削減につながります。

家畜によるふん尿の不適切な処理・管理によって地下水や水道水源が汚染されているのが現状です。

また、農作物を育てる際に必要な水は畜産動物と比べると圧倒的に少なく、飲み水やえさとなる穀物を育てるのに必要な水を使用するか否かで大きく異なります。

3. 森林伐採の抑制

動物食品の摂取をしないことで畜産動物の生産を減らすことにつながり、動物の放牧やえさとなる穀物を育てるために行われる森林伐採を減らせます。

畜産を理由とした森林伐採は世界の森林伐採の80%であり、1分間に東京ドームが2個分消失する勢いで伐採がすすめられているため、動物性食品の未摂取が野生動物のすみかを守ることにつながります。

ヴィーガンのデメリット6個

1. 貧血になりやすい

貧血予防には鉄とビタミンB12の摂取が必要ですが、ヴィーガンの食生活では鉄やビタミンB12を多く含む肉や魚を食べないため、不足しやすくなります。

鉄は赤血球に含まれており、体内へ酸素を届けるヘモグロビンの構成要素です。ビタミンB12はヘモグロビンやDNA、たんぱく質、神経細胞内の脂質膜の合成を助ける栄養素で植物性食品にはほとんど含まれません。

2. 骨がもろくなりやすい

吸収率の高いカルシウムを含む乳製品や小魚を摂らない食生活が続くと、必要なカルシウム量を確保しにくくなり、骨粗しょう症につながります。

血中のカルシウム濃度を保つために骨から補おうとして、骨密度が減るためです。

3. 抜け毛・体力の低下になりやすい

肉・魚・卵を食べないため、たんぱく質が不足しやすくなり、抜け毛、体力の低下などの原因になります。

ヴィーガンの食生活では、たんぱく質源は大豆・大豆製品が中心で、他にたんぱく質を多く含む食品がほとんどありません。

1日に必要なたんぱく質を摂るためには大豆・大豆製品を毎食食べる必要があり、飽きが来ないように大豆製品をうまく取り入れつつ味つけも変えながら続けていきましょう。

4. エネルギーが不足しやすい

ヘルシーな食品が多い反面、エネルギー摂取量が少なくなりやすいです。エネルギー摂取量が必要量より少ない生活が続くと、やせる原因になり、抜け毛、筋肉減少に伴う体力や代謝の低下、さらに女性では月経不順が症状として現れます。

痩せすぎると頬がこけて見えたり、肌のハリがなく見えたりするので老けた印象を与えることもあります。体重を減らすことばかり考えず、適度なエネルギー補給を意識するのが大事です。

5. 外食がしにくい

ヴィーガンに対応しているレストランや販売店はまだそこまで多くないのが現状であり、動物性食品を含まないメニューを選ぶ必要があります。

誰かと食事に出掛ける際には気を遣わせてしまうこともあるため、事前に「Vegewe」lなどのレストランガイドを使ってお店を調べておくのがおすすめです。

また、入手しにくい食品もあるため、お取り寄せや専門店へ出向いて買い物せざるを得ず、コストがかかる可能性があることも覚えておきましょう。

6. 体質に合わない場合がある

健康によいからとヴィーガンの食生活を取り入れてみても、個人で体質が異なるため合わない場合もあります。

例えばヴィーガンのメリットとして食物繊維を豊富に摂取できることがありますが、腸内で消化しきれずかえって便秘になる方もいます。

また、動物性食品を摂取しないことが精神的ストレスになってしまうこともあります。何か体に気になる症状が現れた場合は、元の食生活に戻してみることも検討してください。

ヴィーガンなのに太ってる人の理由は?太らない?

ヴィーガンなのに太っている人は過食が原因であることが多いです。カロリーはたんぱく質・脂質・炭水化物で補うことができますが、ヴィーガンの食生活は脂質やたんぱく質が少ないのが特徴で、残りの糖質でカロリーを確保する状態になりやすくなります。

穀類や根菜類、フルーツは糖質を多く含んでおり、食べ過ぎによりカロリー過多になる可能性があります。

また、ナッツ類は脂質が豊富でたくさん食べ過ぎると、カロリーの摂りすぎにつながるため適量に抑えましょう。

さらに、動物性食品より消化が早いことでお腹が空きやすくなることも原因の1つです。毎食、カロリー源であるご飯をよく噛んで食べ、間食を減らすことで、早食いや血糖値が常に高い状態を防げます。

ヴィーガンで痩せすぎの人の理由

1番大きな理由は高カロリーな食品の摂取が少ないことです。カロリー源であるたんぱく質と脂質を多く含む動物性食品を食べないことが大きく影響しており、ヴィーガンの食生活を取り入れている人は肥満より痩せすぎの方が多いといわれています。

穀物や根菜類、フルーツ、ナッツ類は、食べる食品の中でもカロリーが高めなので、まずは主食としてご飯や玄米は毎食食べることをおすすめします。

加えて果物や根菜類、ナッツ類は意識的に摂るようにして1日に必要なカロリーを確保していきましょう。

ヴィーガンの注意点3個

1. 積極的に鉄・ビタミンC・ビタミンB12を摂る

植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、動物性食品由来の鉄よりも吸収率が低いため、積極的に鉄を含む食材を摂取していくことが大切です。

また、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率を上げることができます。鉄はほうれん草やオートミール、大豆、アーモンドに比較的多く、ビタミンCは加熱により酸化すると効力を失うので生食できるフルーツから摂る方がよいです。

ビタミンB12は植物性食品では摂取が難しいので、サプリメントで摂るのがよいでしょう。

2. 積極的にカルシウム・ビタミンDを摂る

吸収率の高いカルシウムを含む乳製品や小魚を摂らないため、意識的にカルシウムの多い食品を摂ることが必要です。大豆・大豆製品やモロヘイヤに多く含まれるので積極的に摂りましょう。

また、骨の形成を助けるビタミンDも一緒に摂ると効果的なのできのこ類を意識してとるようにしてください。また、皮膚が日光を浴びることによってビタミンDが生成されます。

3. たんぱく質の質と量を意識する

たんぱく質の質は必須アミノ酸をバランスよく含むか否かで決まります。ヴィーガン食生活の中で必須アミノ酸をバランスよく含むのは大豆です。

毎食大豆や大豆製品が摂れるならたんぱく質が不足することはありません。最近では「大豆ミート」も注目され、比較的入手しやすくなりました。同じ食品ばかりでは飽きが来るので様々な種類の大豆製品や味付けで食べるとよいでしょう。

まとめ

動物性食品を摂取しないヴィーガンは環境に配慮でき、低カロリーなどメリットが多くある一方で、たんぱく質や鉄、カルシウムが不足しやすいデメリットもあります。

完全にヴィーガンの食生活にする場合は摂れる栄養素が限られるため、意識的に摂ったりサプリメントで補ったりする必要があります。ダイエットや美容のために取り入れるなら、部分的に取り入れる程度の方が無理なく続けられるかもしれません。

  • この記事を書いた人

Trairy編集部

Trairy[トレーリー]では、フィットネスやダイエット、美容健康情報を配信しています。論文なども参照しながら正確な情報提供に努めています。

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